猫の副腎皮質機能亢進症(クッシング病):皮膚裂傷とインスリン抵抗性
猫のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)は、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の持続的な過剰分泌によって引き起こされる深刻な内分泌疾患です。犬と異なり、猫では極めて難治性の高いインスリン抵抗性糖尿病と、皮膚のコラーゲンが失われて紙のように容易に裂けてしまう「猫皮膚脆弱症候群(Fragile Skin Syndrome)」を併発することが大きな特徴です。
このガイドは獣医師の代わりにはなりません。夜間・救急動物病院

このガイドの内容
1. 病態生理:過剰なコルチゾールが身体を壊す仕組み
慢性的なコルチゾール過剰は末梢での糖取り込みをブロックし、重度のインスリン抵抗性を引き起こします。さらに皮膚の線維芽細胞の働きを停止させ、真皮のコラーゲン線維を著しく減少させるため、皮膚が半透明の薄い膜になってしまいます。
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2. 主な原因(下垂体性・副腎性・医原性)
ACTHを過剰分泌する下垂体腺腫(約80%)、副腎自体の腫瘍(約15%)、および喘息や皮膚炎治療のための長期ステロイド注射による医原性が原因となります。
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3. 警戒すべき臨床兆候
わずかな刺激で皮膚が剥がれるように裂ける、インスリンを打っても下がらない多飲多尿・多食、四肢の筋肉萎縮、太鼓腹、そして耳介の先端が前方へ丸くカールする特徴的変化が現れます。
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4. 猫に特化した確定診断検査
犬と異なり、猫では受容体の関係で10倍量のデキサメタゾンを使用する「低用量デキサメタゾン抑制試験(LDDST:0.1mg/kg)」と、高解像度腹部エコーによる副腎の腫大評価が必要です。
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5. 治療プロトコルと保定上の厳重注意
副腎ホルモン合成酵素阻害薬であるトリロスタンを慎重に投与します。診察時や日常生活では、首の後ろをつかむ(スクラフィング)保定は皮膚断裂を招くため絶対禁忌です。
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出典・学術的参考文献
- Feldman, E. C., et al. (2015). Canine and Feline Endocrinology, 4th ed. Saunders.
- Valentin, S. Y., et al. (2014). Hyperadrenocorticism in cats: 30 cases. J Vet Intern Med, 28(2), 481-487.
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