猫の殺鼠剤(ネズミ毒)中毒:症状・体内出血の危険と緊急解毒法
猫の殺鼠剤(ネズミ捕り毒)中毒は、毒餌の直接誤食や、毒を食べたネズミを捕食することによる二次中毒(リレー毒性)によって引き起こされる極めて危険な救急疾患です。最も多い抗凝固性殺鼠剤は体内のビタミンK1を枯渇させて全身出血を引き起こし、適切な解毒治療を行わなければ数日で命を落とす危険があります。
このガイドは獣医師の代わりにはなりません。夜間・救急動物病院

このガイドの内容
1. 殺鼠剤の種類と毒性メカニズム
主要な殺鼠剤には以下があります:
- 抗凝固剤(第2世代ブロディファクム等): ビタミンKエポキシド還元酵素を阻害し、凝固因子(II、VII、IX、X)の産生を停止させます。
- コレカルシフェロール(ビタミンD3): 急性高カルシウム血症を引き起こし、腎臓や心血管を石灰化させます。
- ブロメタリン: 中枢神経のミエリン鞘浮腫を引き起こし、麻痺や痙攣を誘発します。
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2. 猫に多い「二次中毒(リレー毒性)」
猫は嗜好性の高い固形毒餌を直接食べるだけでなく、毒を食べて動きの鈍くなったネズミを捕食して濃縮された毒素を摂取する事故が多発します。
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3. 出血症状と潜伏期間の罠
摂取後3〜5日経って既存の凝固因子が枯渇すると、鼻出血、口腔出血、黒色便(タール便)、皮下出血班、胸腔内出血(血胸)による呼吸促迫が急速に進行します。
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4. 動物病院での緊急検査
凝固時間測定(PTおよびAPTT)、血液生化学、POCUS超音波検査による胸腹腔内の遊離血液貯留の有無を迅速に評価します。
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5. 解毒プロトコルと新鮮凍結血漿輸血
抗凝固剤に対する特異的解毒剤は天然型ビタミンK1(フィトナジオン)であり、脂肪分の多い食事とともに3〜4週間経口投与します(市販のビタミンK3は効果がなく腎毒性があるため使用不可)。すでに出血が始まっている場合は新鮮凍結血漿(FFP)を輸血して凝固因子を即座に補充します。
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出典・学術的参考文献
- Peterson, M. E., & Talcott, P. A. (2013). Small Animal Toxicology, 3rd ed. Elsevier.
- Waddell, L. S. (2013). Rodenticide toxicities in small animals. Vet Clin North Am Small Anim Pract, 43(5), 1057-1070.
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