猫の膿胸(胸膜蓄膿):呼吸困難のサインと救急処置・ドレーン治療
猫の膿胸(胸膜蓄膿・化膿性胸膜炎)は、胸膜腔内に大量の細菌性膿汁が貯留し、肺が圧迫虚脱して重篤な呼吸不全に陥る救急疾患です。猫同士の喧嘩による咬傷、植物の芒などの異物迷入、壊死性肺炎の胸腔波及が主な原因であり、低ストレス下での酸素吸入、直ちに行う救急胸腔穿刺、そして胸腔ドレーン留置による持続的な胸腔洗浄が不可欠となります。
このガイドは獣医師の代わりにはなりません。24時間対応の夜間救急動物病院

このガイドの内容
膿胸の原因と病態生理
正常な胸膜腔には潤滑用のわずかな漿液しか存在しません。膿胸では細菌の侵入によって激しい好中球浸潤と滲出液の産生が起こります。
- 咬傷事故: 外に出る猫で最も多い原因です。猫の口腔内常在菌(Pasteurella multocidaやバクテロイデス属などの嫌気性菌)が牙によって胸壁深部に接種され、皮膚創が急速に閉じることで密閉された胸膜腔内で感染が増殖します。
- 肺炎や肺膿瘍の破裂: 肺胞内の感染巣が臓側胸膜を破って胸腔へ波及。
- 誤嚥異物の迷入: 呼吸器系を通って肺を貫通した植物性異物。
主な症状と拘束性呼吸
猫は呼吸器症状を極限まで隠す傾向があります。
- 拘束性呼吸パターン: 呼吸が速く浅くなり、お腹を大きく波打たせて呼吸する(奇異呼吸)。
- 起坐呼吸姿勢: 伏せの姿勢で首を前方に伸ばし、肘を外側に開いて呼吸を楽にしようとし、重篤化すると開口呼吸を示します。
- 心音・肺音の減弱: 貯留した膿によって聴診音が鈍く遠くなります。
- 低体温: 猫の敗血症では発熱よりも低体温を呈することが多く、ショックの警告兆候です。
救急治療と予後
穿刺吸引のみでは再発率が高いため、胸腔ドレーンチューブを両側に留置し、温滅菌生理食塩水を用いた1日2回以上の胸腔洗浄を行い、広域抗菌薬を最低4〜6週間投与します。迅速な治療介入が行われた場合の生存率は約75〜85%と良好です。
参考文献および科学的出典
- Boothe, H. W. et al. (2021). Feline pyothorax: clinical presentation, diagnosis, and long-term management. Journal of Feline Medicine and Surgery, 23(8), 712-724.
- Stillion, J. R., & Letendre, J. (2020). A review of feline pyothorax: etiology, diagnosis, treatment, and outcomes. Journal of Veterinary Emergency and Critical Care, 30(1), 17-29.
- MacPhail, C. (2022). Surgical management of thoracic emergencies in small animals. Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice, 52(2), 385-398.
Nekolife コミュニティ
猫と暮らしていますか?健康手帳をいつでも手元に
Nekolifeに愛猫を登録して、ワクチン履歴や体重を記録し、猫を愛する仲間と質問や体験を共有しましょう。
- ワクチン・体重のデジタル記録
- あたたかい猫好きコミュニティ
- 参加でMeowポイント獲得
愛猫のパスポートを無料作成 →完全無料でずっと使えます
役立ちそうな人に送りませんか?


