猫の髄膜脳炎:原因・神経症状(首の強直・痙攣発作)と救急医療
猫の髄膜炎および脳炎(髄膜脳炎)は、脳や脊髄を覆う髄膜および脳実質に急性・亜急性の炎症が生じる重篤な病態です。猫の臨床現場において本疾患は最優先で対応すべき神経救急であり、急速に進行する脳浮腫と頭蓋内圧亢進により、重度発作や昏睡を引き起こし、迅速な原因療法を行わなければ不可逆的な脳損傷や死に至ります。
このガイドは獣医師の代わりにはなりません。夜間・救急動物病院

このガイドの内容
1. 髄膜脳炎の病態生理と頭蓋内圧亢進
病原体が血液脳関門を突破すると、髄膜や脳実質に激しい炎症性細胞浸潤が起こります。頭蓋骨という硬い骨に囲まれた脳内で浮腫が生じると、頭蓋内圧(ICP)が急激に上昇して脳虚血や致命的な脳ヘルニアを引き起こします。
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2. 猫における主要な発症原因
猫では感染性疾患が圧倒的多数を占めます:
- 神経型FIP(猫伝染性腹膜炎): 最多の原因であり、脳室炎や血管炎を伴う肉芽腫を形成します。
- クリプトコッカス症: 鼻腔から篩骨板を通り脳へ浸潤する真菌感染。
- トキソプラズマ症: 脳実質内に多発性壊死病変を形成。
- 細菌性髄膜炎: 重度の内耳炎や咬傷からの波及。
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3. 臨床症状:頸部強直と運動障害
食器に首を下げるのを嫌がる(頸部痛)、頭部を傾ける斜頸、眼球が不随意に動く眼振、ふらつき、旋回運動、そして突然の痙攣重積発作や頭を壁に押し付ける動作が現れます。
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4. 精密画像診断と脳脊髄液(CSF)検査
頭部MRIで髄膜の造影増強効果や脳室拡大を確認します。さらに全身麻酔下で脳脊髄液を採取し、細胞数増加(多形核球・単核球)と蛋白濃度を分析し、各種感染症PCRを実施します。
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5. 救急治療プロトコル
脳圧亢進に対してマンニトールを投与し、発作にはレベチラセタムを用います。神経型FIPに対してはGS-441524を高用量(10〜15mg/kg)で投与し、病原体に応じた抗菌・抗真菌治療と炎症抑制のステロイドを組み合わせて救命を図ります。
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出典・学術的参考文献
- Bradshaw, J. M., et al. (2004). Feline meningoencephalomyelitis. J Feline Med Surg, 6(3), 159-168.
- Pedersen, N. C., et al. (2019). Efficacy of GS-441524 for cats with FIP. J Feline Med Surg, 21(4), 271-281.
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